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67話 持っていくもの

Penulis: 八月 猫
last update Tanggal publikasi: 2026-08-01 09:01:58

 翌日、不動産屋から連絡が来た。

 申し込みの審査に入ることになったらしい。

 必要な書類。

 身分証。

 収入証明。

 勤務先の情報。

 保証会社の申込書。

 メールに並んだ文字を見て、私はしばらくスマホを握ったまま動けなかった。

 部屋を借りる。

 引っ越す。

 その言葉は、昨日よりもずっと現実に近づいている。

 会社の休憩スペースで一人、私はメールを読み返した。

 怖い。

 でも、進んでいる。

 自分で決めたことが、ちゃんと手続きになっていく。

 そのことが不思議だった。

「藤崎さん?」

 顔を上げると、森下さんが紙コップの紅茶を持って立っていた。

「大丈夫ですか?」

 反射で大丈夫と言いそうになって、少しだけ止まる。

「ちょっと緊張してる」

「緊張?」

「うん。部屋の申

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